メキシコの食べ物といって先ず思い浮かべるものは、タコスだろう。
確かに一般的に食べられていて、ファストフードといえるタコスは、アメリカのハンバーガーのようにメキシコの代表的な料理だ。しかし、メキシコの料理はそれだけではない。食材もさまざま、調理法もいろいろだ。
スーペル・メルカド=スーパーマーケットでは、それこそたくさんの食材を見ることが出来る。メキシコ料理には欠かせないチリ=トウガラシは、優に10種類以上、果物は、メロンにスイカ、バナナにマンゴー野菜はトマト、ズッキーニと、日本でのスーパーよりは遥かに豊富な量である。
鯛のベラクルス風などの郷土料理や、豚の皮をラードで揚げたチチャロンなども代表的なメキシコ料理にもなっている。

ただし、一般のレストランのメニューでは、その種類が限られどれも同じ感じになってしまうのはしょうがないだろう。基本的にとうもろこし、肉、魚、芋、豆が少しずつ姿を変えるだけにも見えてしまう。
無難にメニューの知っている品をオーダーしていると、ちょっぴり辛くて、どの料理にもサルサソースと豆の煮物がついてきてトルティーヤが主食で・・・といったことになってしまうのでご注意を。

バハカリフォルニアは、狭いところで幅が100km程しかない細長い半島であるので、日本と同様に海岸線が長い。砂漠のイメージが強いが、大きな街は、天然の港や河口から発展してきたのだ。したがって当然海の幸が豊富に味わえる。シーフード抜きには、バハを語れないといっても過言ではない。
いか、カニ、はまぐりなどが入った、ソパ・デ・マリスコス=海鮮スープは、それを食べるためだけにBAJAへ行ってもいいといえるほどのおいしさ。新鮮な魚介類の素材のうまさだ。
ランゴスタ=ロブスターも庶民的な値段でそこそこの大きさのプリプリが味わえる。タコも一般的に食べられていて大抵はぶつ切りをニンニクでソテーしてあり、ときにトマトソースがからめてあったりする。
また、メキシコ料理とは言えないかもしれないが、EL CHINOという地名が残っているように、中国からの入植者が多く、コルテス湾側の港町San Felipeでは、アワビの醤油煮そのものもと思える料理も出てきて驚かされる。しかも安いからまたびっくりだ。
南北アメリカ大陸原産の食物はたくさんあるが、カカオもその一つだ。
そのカカオの豆の粉末・ココアを使ったちょっと変わった料理にチキンモレがある。ココアとはいえ、間違っても甘いミルクココアを想像しないでほしい。言ってみれば鶏の甘辛煮ってところだが、プレーンのココアや、胡麻、トウガラシ、バナナなどを食用油でペースト状にしたものをコンソメスープなどでのばして鶏肉を煮こんだものだ。
感じとしてはチキンカレーのようだが、トルティーヤに包んでも良し、ご飯にのせても良しの一品なのだ。

短い滞在期間で全てを味わうことは無理だが、メニューで迷ったら「読めないもの」を注文してみるのも楽しみの一つではないだろうか。
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