BAJA1000のレースコースは、約1600km。人が多く生活していて確実に名前のある村、街を通過することもある。
洋の東西を問わず、地名はその土地の歴史、地形、自然環境、人名に由来するものが多い。バハカリフォルニアの地名も然り。
バハで特に多いのは、スペインの征服そしてカトリックの布教以来、聖人の名に因んだ地名だ。
San Javier(サン・ハビエル)、San Ignacio(サン・イグナシオ)など、挙げたらきりがない。
Sanは、英語のSaint(聖人の称号)で、たとえばアメリカのセントルイスは、サン・ルイ(この場合はフランス語由来)の英語読みである。上の2つの地名をあえて日本語にすると聖ザビエル、聖イグナシオとなる。
皆さん良くご存知アメリカのサン・フランシスコやサン・ディエゴも同様に守護聖人の名前だ。もっとも、カリフォルニア州自体その他の州と共にメキシコから1500万ドルで譲り受けたそうだから、スペイン語の地名が多く残っているのは当然だ。
バハ・カリフォルニアそのものも英語で言えばLower(下)・Cariforniaとなり、現在のアメリカ・カリフォルニア州にあたる部分は、メキシコ領当時はアルタ・カリフォルニア、Upper(上)Californiaと呼ばれていた。
Baja(バハ)とは、下あるいは、低いと言った意味である。ちなみに、スペインにも地図上の下にあたる南に位置している土地にバハ〜あるいは、〜バハと言う地名がある。
土地の歴史からの地名としては、スペイン征服以前の先住民ソチミインディアンの言葉が由来といわれる、Tijuana(ティファナ)や、捕鯨船の座礁したことによるGuerero Negro(ゲレロネグロ・Black Warrior)、そして多分日本人に関わりがあったであろうEl Japon(エルハポン)など。
地形、自然環境が由来の地名として、BAJA1000のスタート地としても有名なEnsenada(エンセナダ)は直訳すれば「湾」である。また、日本の観光地のようなPlaya Blanca(プラヤブランカ)「白浜?」、Punta Conejo(プンタコネホ)「ウサギ岬?」、Aqua Caliente(アクアカリエンテ)「温泉?」などなど。
何が由来かなと考えたくなる地名は、Tres Hermanos(トレスエルマニョス)「魔女の三姉妹」、やはりBAJA1000のコースで毎回のように通過する、Ojos Negros(オホスネグロス)「黒い目」。 きっと「俺の目が黒いうちはこの土地は手放さん。」と言う頑固親父がいたとか、きれいな黒い目をしたおねーちゃんがいたんでしょう?
これから訪れる場所の地名を地図で調べていくとその地で何があったとか、どんな地形なのかなとか、きれいだろうなとか、いろいろ創造が膨らむ。「カムイワッカ」がアイヌ語で「神の水」って意味だと聞いてホーッとか、「苫小牧」が「沼のあるマコマイ川」の意と聞いてヘーッ、なんていうのと同じだ。
そして、岩と砂とサボテンの過酷なコースを1600km走りつづけた先にあるBAJA1000のゴール地点となる街は、La Paz(ラパス)=「平和」という地名の海がきれいなリゾートタウンなのであった。
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