メキシコといえばやっぱりタコスでしょう。
肉や魚、野菜などさまざまな具をトルティーヤで巻き、サルサをかけたものだ。ハンバーガーのようなファストフードとしても人気があり、街のあちこちに「タケリア」と呼ばれるタコスショップや、道路沿いに屋台のタコススタンドがある。
屋台での基本は、カルネ・アサダ(タコス・デ・カルボン)=炭焼きの牛肉を細かく切ってタコスにしたものだ。同じく炭焼きの鶏肉や、白身魚のフライを挟んだもの、塩茹でした豚肉(カルニータ)や、羊の蒸し焼き(バルバコア)、またシシカバブの様に薄切りの豚肉を串に刺しまわしながらじっくり焼き、焼けたところから削ぎ切りにする(パストゥール)などを具にしたものもある。

そのタコスの具を包む皮トルティーヤは、メキシコ料理には欠かせない、日本のご飯のような存在である。とうもろこしの粉を練って薄く丸く延ばして焼いたもので、そのまま食べたり、タコスとして肉や野菜を挟んで食べたり、あるいは、肉やチーズを中に入れ焼く、煮る、揚げるといった料理としても食べたりする。
トルティーヤには、このとうもろこし(マイス)を使ったものと、小麦(アリーナ)を使ったものがある。タコスショップでタコスをオーダーすると、「トルティーヤは、マイスにしますか、アリーナにしますか?」と聞かれる。両方オーダーして食べ比べるのも楽しい。

タコスにさまざまな具を挟んだ上にかけるサルサ(ソース)もまた、メキシコらしさ満点。
最も基本的なサルサは、サルサ・メヒカーナだ。赤いトマトと、チリ・セラノ(小さい青トウガラシ)、玉ねぎ、シラントロ(コリアンダー)をみじん切りにして混ぜ合わせたサルサだが、メキシコ国旗の色、赤、白、緑と同じ配色ということから、その名がある。
よく見かけるものは、この他にサルサ・ロハ、サルサ・ベルデ、グァカモレの3つだろう。
サルサ・ロハは、赤のチリソース。チリ・アンチョ(大きな赤トウガラシ)などと玉ねぎ、にんにくをすりつぶしたサルサ。
サルサ・ベルデと呼ばれる緑のチリソースは、プチトマト大の緑色のトマトと青トウガラシをさっとお湯に通し、玉ねぎ、シラントロといっしょにすりつぶしたサルサ。
また、日本でも有名なアボガドをサルサ・ベルデで練ったグァカモレは、フィッシュタコスには最高だ。
タコス屋さんには、これら3〜5種類のサルサが用意されているので、お好みでタコスにかけて食べる。
食べ方は、先ず、手のひらにトルティーヤを取りその上に肉や野菜、サルサをのせる。あまり欲張るとボロボロ落としてしまうからほどほどに。そして具がこぼれないようにくるりと巻くのだが、ポイントは、下側をクレープのように返して肉汁やサルサがこぼれないようにすることだ。
そして折り返した部分が戻らないように小指で押さえながら口へと運ぶ。
まあ、流儀で決まってる訳でもないので、お好きなものを、お好きなようにお楽しみあれ。
どう?タコス。

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