バハ・カリフォルニア半島では、メキシコ本土に多くあるような青空市場(メルカド)は少ないが、大きな街ではアメリカにあるような巨大なフードマーケットをみることができる。
BAJA1000のスタート地となるエンセナダには、GIGANTE(ヒガンテ=巨人、巨大)という名のスーパーマーケットがある。
街中に4−5件あり、中心街の国道1号沿いのSUPER GIGANTEは、なんと24時間営業だ。食料品から生活雑貨、薬、モーターオイルまで揃ってしまう。
ここ数年は、アメリカ経済のおかけだろうか、メキシコの財政状態も良いようで、道路や公共の施設同様、スーパーの設備もだいぶ良くなってきた。POSシステムは当たり前、店内にATMも設置され、アメリカ的な合理主義も移入されているようだ。

どこの食品売り場へ行っても先ず目に付くのは、やはり山のように積まれたチリ(とうがらし)だろう。数種類から十数種類もの赤や緑や黄色のチリが並ぶ光景は圧巻だ。大きさもタカノツメ位のものからピーマンより大きなものまでさまざま、トウガラシ博物館とでも言おうか。
野菜、果物は豊富で、日本でも良く使われるものはたいてい揃っている。野菜の中でもメキシコで好まれ、良く使われるものの代表格は、トマトだ。これもまた、店内の一角に山のように積まれ、1Kgいくらで売られている。赤トマトはメキシコ料理の必需品で、サルサソースや、そのソースを調味料としても良く使われる。
また、スープや煮物などにも使われるズッキーニも多く見られる、街道沿いのタコススタンドでは、付け合せとして輪切りにしたものをサービスで出してくれる。みずみずしく癖がないので、どんな料理にもあう食材だ。

日本のスーパーでも良く見かける焼きたてパンのコーナーみたいに、メキシコの主食であるトルティーヤを焼きたてで販売する一角が設けられている店もある。小さなトルティーヤ工場といった感じで、薄く丸く延ばされた大量のトルティーヤが、ベルトコンベアーに載って次から次えと焼きあがっていく。そのほかほかトルティーヤをおばさま達が1Kg単位で買っていく。最近は、真空パックにされたものも多く店頭に並んでいるが、やはり焼きたてが、一番だ。

バハカリフォルニアは、周りを海に囲まれた半島であるので、魚介類も豊富ある。タイ、スズキ、イカ、タコ、ハマグリ、アワビなど、氷の上に並べられていて、意外と鮮度もよさそうだ。
精肉コーナーは切り身のパックはもちろんあるが、白い作業着を着たヒゲのオジサンがその場で切り分けてもくれる。絵に描いたような肉屋さんといった感じだ。
メキシコ風でちょっと変わったものには、豚の皮がある。チチャロンといって、ラードで丸揚げにしてそのままスナックとして食べたり、煮こみ料理したりする、家庭料理の一般的食材だ。

大きな街では、このような大型スーパーがあったり、銀行や日用雑貨店、アメリカ系ハンバーガーショップなどのテナントが軒を連ねるモールがあったりと便利だが、一歩街を離れるとサボテンが生える荒野である。
こうした、街まで1時間も車を走らせなければならないような街道沿いの小さな村では、ミニマーケットが、唯一のお店ということもある。狭い店内に菓子パンやスナック、トマトやたまねぎ、ビールとジュースなど、洗剤やオイルなどの雑貨が置かれたコンビニといった位置付けのストアだ。
そんなオアシス的なミニマートで、砂漠の真中でアイスクリームが食べられると思い、勇んで買い込むと、一度解けて乳脂肪分が分離してしまった物だったりして、がっかりさせられるのは、やはりバハならではの事だったりする。

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