「悪魔の半島と呼ばれる、バハカリフォルニア。砂とサボテンの未開の大地、道なき道を・・・。」 と言えるのは、もう何年もないかもしれない。
2004年のBAJA1000で、史上最高の走破タイムが出た事でも分かるが、ここ数年のメキシコ財政状態の安定のおかげで、国道などの舗装路以外のダートロードの整備も進んでいる。もちろん、レースコースの設定段階であえてハードなセクションを通らないようにしているところもあるが、逆にいえばそのような所を通過しないようなルートがあった、あるいは出来た、ということだ。

道路の整備はオフロードライダーにとっては憂慮すべきことだ。
BAJA1000で使われるメインのルートには乗用車でも十分走ることが出来るくらいの整備された部分もあるのだが、大きな街の周辺はすでに舗装されている。そのうちに全線舗装化決定などということにもなりかねない。
赤字大国といいながら無駄な公共事業で、いらない道を造りつづける国の様にはならないで欲しい。ただ、身勝手なオフロードライダーとしての本音は、舗装路じゃなければ造って欲しいのだけれど・・・。

BAJA1000のレースコースは基本的に道路として使われている道だ。
なかには、干上がった川床や、馬しか通れないような幅の狭いガレ場があったりするが、いずれも道としての用を為している。
普段は生活道路として使われている道であったり、牧場の中の私道であったり様々だが、レースではそれらをつなぎ合わせ全長1600kmものオフロードコースを作ってしまうのだ。
レース中以外は入れない場所もコースに含まれるので、BAJA1000のエントリーフィーには、ランドユースフィーが含まれている。いわば、土地使用料となるが、これは、牧場などの地権者やメキシコ政府に支払われるものだ。
実際にレース期間外にツーリングで訪れると、ここからが牧場だと示している柵を良く見るが、道がその牧場と思しき中に通じている場合は、その入り口には通行料を徴収するために、年老いたカウボーイが待っていたということもあった。どこからどこまでがその土地なのかはっきりしないところがバハ的ではあるが。
 舗装路以外の道は、地図の上では、5段階に分かれて表示されている。
実際に走ってみた印象から分類すると、次の様に表現できるだろうか。
・トラックが余裕ですれ違い出来る幅のよく整備された、オフハイウェイとも呼ばれるダートロード。
・乗用車でも走行できる程度の農道ダートロード。
・ピックアップトラックなら走行できそうなダートロード。
・四輪駆動のピックアップトラックでも苦労しそうな、悪路ダートロード。
・本来は、馬、ロバ道であるトレール。

未舗装路の等級がこれだけ分かれているところからすると、BAJA1000のメインルートで使われるダートロードが整備され舗装化が進んだとしてもバハカリフォルニアがオフロードパラダイスであることには変わらない。
日本で言うところの、国道も含めて、県道、町道、農道、林道といった全ての分類の道のほとんどがダートロードなのだから。
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