海外では「生水を飲むな」とか、「水道水は、煮沸してから飲め」などとよく言われる。
ヨーロッパでは、細菌などの心配の無い水道水でも「硬水」であったりして、「軟水」で育った日本人にとっては、それだけで下剤を飲んでいるようなものなのですぐにお腹をこわしてしまうのだとか。
メキシコでは、「硬水」であることに加えて、土管を使用している水道管が破損し土中の細菌や汚れが混入することもあるようだ。たしかにガイドブックや旅行経験者が口をそろえて気をつけるように言っているのはうなずける。
実際に生活している現地の人々も飲料水は、水道水を一度沸かし冷ましたものや、20リットル入りボトルのミネラルウォーターを使っているとのことである。また、メキシコの人は「レフレスコ」清涼飲料水が好きなことで有名だ。タコスと一緒にあるいは暑い時の水の代わりに飲んでいる。スーパーの店頭ではペプシや、ファンタ、はたまた見たことの無いブランドの炭酸飲料が山の様に積まれている。

レストランなどで水を頼むときには、ペリエなどの炭酸入りの水では、「アグア・ミネラル」あるいは「アグア・コン・ガス」また、普通の水では、「アグア・ナトゥラル」あるいは、「アグア・シン・ガス」といってそれぞれ使い分けてオーダーする。ちなみに氷入りは「アグア・コン・イエロ」。スペイン語で「氷」は「Hielo」、「氷はひえろ」と覚えたりするが、「H」は、サイレンとなので発音は「イエロ」になるのでご注意を。

「乾燥した土地」と容易に連想されるバハカリフォルニアの年間降水量は、300mm程度である。東京のそれが1500mm程であるから約5分の1の降水量となる。もちろん、沿岸部、中央の砂漠地帯、南北で異なるが、最も乾燥している砂漠地帯では年間降水量が100mmを下回るときもある。
雨のほとんどが夏から秋にかけてのハリケーンシーズンに集中していて、その他は冬にシトシトと降るくらいしかないようだ。もっとも、1回のハリケーンで年間降水量の大部分だろうから、ほとんど降らないといったほうがいいのだろうか。

バハには川も湖もあるがたいていどれも干上がっている。すくなくとも、バハの市街地で生活していたら、まず川や湖を目にすることはほとんどないだろう。大きな川で1年中流れがある方が珍しいのだ。
バハ1000のスタート地エンセナダにはエンセナダ川があり、ライダー達はスタート後、市街地の数kmを走った後この川を上って行くコースをたどる。バハでは、川は道としても機能しているのだ。何年かに一度、季節外れの雨で、この道?が本来の川になってコース変更ということもあるが、たいていは、水があっても水溜りのようで、流れているようには見えない。
また、舗装された国道を走っていると「VADO」と書かれた黄色い道路表示をよく見かける。これは道路が窪んでいる所にある注意表示なのだが、その窪みの正体は、舗装道路と交差する川なのである。1年に数回、窪みは川となるが、その数回の為にわざわざ橋は造らないのだ。
湖も1年のほとんどは干上がった、いわゆるドライレークだ。地表(湖底?)はひび割れているが、ただただ平面が延々と続く広大な土地は、ライダー達にとって最高速チャレンジの恰好のフィールドとなる。

そんな乾燥した不毛の大地にもオアシスはある。先住民インディヘナ達は、水を求めて山間の泉の湧く場所、あるいは清らかな流れの谷間にたどり着き生活をはじめた。スペイン人たちが征服し、教会を建てていったのもこうした豊かな水がある土地からであった。
バハを走るライダー達に人気の山上の一軒宿、マイクススカイランチのすぐ脇にも渓流といっていいほどのきれいな流れがある。この川ではマスが釣れるらしい。砂とサボテンの大地で「マスの塩焼き」、ぜひ食してみたいものだ。
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