バハ・カリフォルニア半島は、アメリカ西海岸サンディエゴの南に盲腸のように突き出た半島だ。メキシコ本土との間の内海はカリフォルニア湾またはコルテス海とも呼ばれる。
乾燥した大地、砂とサボテンの世界と云うイメージのバハカリフォルニアだが、実は周りを海に囲まれた半島であるので、生活、経済は海に頼るところが大きい。漁業、塩田、観光リゾート、そして農業もである。

沿岸部に栄えた街では様々な経済活動が行われているが、やはり基盤は、はるか昔より営まれた生活だ。水と食料なくしては語れない。
半島中央部の山脈からわずかに流れる川は、砂漠の真中でいつしか消えうせ、雨季の一時期しかその流れを見ることができないほどの乾いた土地だが、太平洋からの湿った空気が朝霧を作り、海と山脈にはさまれた平地に貴重な水を運ぶ。日が昇ってしばらくは半島中央部の砂漠地帯の強烈な日差しからは想像できないような湿気を感じる。このような地域にはメキシコ料理に欠かせないトマトの農地が広がっている。

唯一半島を縦断している舗装の国道から砂利道を延々と走った先にある海岸にも、フィッシュキャンプと呼ばれる漁師小屋があり漁期には小さな村が出来る。スズキ、イナダ、タコ、イカ、ハマグリなど近海物の魚介類は豊富だ。
また、近年はリゾート開発も進み半島にいくつか存在する景勝地には、アメリカ資本の高級ホテルの建設ラッシュが続いている。スポーツフィッシングやスキューバダイビングなどのマリンスポーツはアメリカ人を中心に世界各国の観光客に人気である。

バハ1000の出場者は、半島縦断のレースが終わった後、1600Kmの道程を引き返して帰ってこなくてはならないが、キャンピングカーで移動しているチームは、半島各所に点在するキャンプ場を利用することも多い。
何もない砂浜がそのままキャンプ場となっていて、それこそトイレも水場もないが、キャンピングカーでの宿泊がメインなので水、食料を用意させしておけば、すぐにプライベートビーチリゾートの出来上がりだ。
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