BAJA1000は、カテゴリーで分類するといわゆるデザートレースのひとつだ。「デザートレース」を直訳すると「砂漠のレース」となるが、パリダカやUAEのような砂丘越えがあるわけではない。バハカリフォルニアのほとんどは、西部劇で登場するような荒野、いうならば土漠だ。
実際のコースは、オフハイウェイと呼ばれる2車線以上ある幹線ダートロードから、頭大の岩がごろごろしている干上がった川床まで様々なシチュエーションがある。
半島の中央部は山脈が南北に連なっているので、半島を横断するコースルートでは、上り下りの激しい山岳路となる。また、海沿いのルートでは、シルトと呼ばれるフカフカの砂地を1速で二輪二足走行ということもある。

2004年のルートで各セクションの代表的なコース状況を挙げてみると、以下の通りだ。
先ず、Ensenadaをスタートしてすぐ市街地を避ける為に川に入る。ほとんど水が流れていない川岸を登り、さらに牧場の合間を抜けて行くとOjos Negrosだ。国道3号を横切り、「魔女の三姉妹」と呼ばれる岩山を超え、再び国道3号に下り、ひたすら真っ直ぐな、しかし、ひたすらサンドウォッシュボードの送電線下の作業道を抜けるとカリフォルニア湾側のSan Felipeに出る。

ここからは、海沿いの整備された路面のストレートが続く。ところによっては2車線ほどの幅があるハイスピードコースだ。全工程の1/3ほどとなるところで、一度海沿いを離れ半島中央部の1号線に向かう。ココスコーナーと呼ばれる荒野の一軒宿から1号線までは湿地のような川の中を走行する。
1号線をかすめるようにして再びカリフォルニア湾側のBahia de Los Angelesに出ると海側をさらに南下する。 「サボテンハイウェイ」と名付けたくなるような、バハを象徴する柱サボテン林の中を一直線に貫く、締まった砂の路面だ。海岸線は切り立った崖なので海側ではあるが等高線を辿るように谷間を抜けて行く。
カリフォルニア湾をちらりと望むと今度は中央部へと進路を変える。やはり2車線ほどはありそうなジャリ砂のような比較的整備されたルートで、ちょうど北バハカリフォルニアと南バハカリフォルニアの州境の街El Arcoまで向かう。
舗装の国道1号線を20kmほど走行しSan Ignacioからは一気に太平洋側に向かう。海沿いに出るまではスピードの乗るしまった路面だが、ひとたび海岸線と平行に南に進路を変えると、あのシルトが待ち構えている。小麦粉のようにパフパフした細かい粒子の土だ。バハの罠がそこにはある。一見するとフラットだが、落とし穴が隠されているのだ。何台ものマシンが掘り起こした深い轍を小麦粉で埋めていると思えば想像に容易い。
海沿いのシルト区間を抜けるとオアシスの村La Plisimaの短い舗装路を走る。ここからは一変して中央部の山脈を山沿いに南下する形だ。難所のひとつとされるガレ場の上りが延々と続く。
山上の教会の村San Javierを過ぎると下りのガレ場となる。山岳地帯を抜けると再び太平洋側にコースを取り、平地のフラットな直線路に戻る。Santa Ritaからは、しばらくヒザが笑うウォッシュボードの後、締まった砂に石が埋まったような路面だ続く。
そして、最後に太平洋側からカリフォルニア湾のリゾート地であるゴール地La Pazへ向け半島を横切る。
サボテン林の中を走る一車線ほどの幅で徐々に高度を稼いで行く。登りは判らないくらいなだらかだが、最後の最後に階段状の下りが待ち構えている。ゆっくりラインを選べば難しいことはないが、スピードに乗っていると1mほどの段差をジャンプすることになる。
この階段を下りきりゴミ捨て場の横をぬけ舗装路にでるとLa Pazのフィニッシュラインとなる。
花崗岩が風化されてできた浜砂のようなものと土が混ざった感じのところがほとんどだが、路面状況は、地形によって岩が多かったり、砂が深かったり、というのがバハのコース状況である。
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