独立した島国、日本に住んでいると、国境を意識する事は少ない。
しかし、海外旅行に出かければ、国境越えの機会もあるだろう。出入国の手続きに手間取ったり、意外にすんなり越境できて驚いたり。あるいは、フェンス1つで言葉が変わって戸惑う事もしばしば。

バハ・カリフォルニアは、メキシコ合衆国の一番北西に位置する半島で、バハ・カリフォルニア州はその北端でアメリカ合衆国のカリフォルニア州に接している。
アメリカ−メキシコ国境ゲートはアメリカ・カリフォルニア州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、テキサス州との間に24ほどあるが、そのうちの6つが、バハ・カリフォルニアにある。
西側から、San Ysidlo/Tijuana、Otay Mesa/Mesa de Otay、Tecate/Tecate、Calexico west/Mexicali、Calexico east/Mexicali、Andrade/Los Algodonesとなる。
それぞれの国境を挟んだ町の名前が面白い。特に、CalexicoとMexicaliは、カリフォルニア側のメキシコとメキシコ側のカリフォルニアって感じだろうか?その由来が知りたい。

もっとも大きい国境施設は、San Ysidloだ。アメリカのインターステートハイウェイ5でサンディエゴから30分程度という利便性で、越境者の数も多い。週末の夕方ともなると、ゴールデンウィークやお盆の高速渋滞さながらの混雑となる。
アメリカからメキシコへの入国は、それこそ高速の料金所のようなゲートをくぐるだけで、特にチェックもないので待たされたとしても30分位だ。しかし、メキシコ側からアメリカへは、パスポートや車検証のチェックなどで時間がかかるため、2時間待ちということもある。
そのため、メキシコ側には、渋滞待ちを利用しての買い物客に目を付けて、国境間際まで沿道にみやげ物屋さんが連なっている。また、道路上にも商品をいっぱい抱えたり、カートを満載にして物売りに来る。あまり購買欲をそそられないブランケットや置物といったみやげ物が多い中、唯一触手を刺激される物は、チューロスだ。シナモンシュガーが甘い、揚げたての1袋が$1で、しばし渋滞のイライラも忘れられる。

Otay Mesaの国境は、San Ysidloの東約10kmに位置する。San Ysidloが一般向けとするならば、Otay Mesaは、商用という位置付けだ。国境を挟んで両側に、大きなコンテナを積んだトレーラーが集まるトラックターミナルが設けられている。また、広大な土地を利用した保税倉庫が立ち並ぶ。アメリカ側は、ほとんど通関業者の街と言えるだろう。国境オフィスは、San Ysidloと同様に24時間“営業”だ。
Tecateの国境は開設時間が5時から23時までだ。有名なメキシコビールのTECATEの製造工場がある街だが、車で10分も走れば通り過ぎてしまう位の規模しかない。アメリカ側は、同じ地名がつくように、道路や建物こそアメリカの作りではあるが、雰囲気はすでにメキシコという小さな田舎町。
Calexico/Mexicaliの国境オフィスは、やはり24時間開いている。また、そのわずか3マイル東にも6時から22時からまでの新しい国境検問所がある。Mexicaliは、バハ・カリフォルニア州の州都で、Tijuanaについで2番目に大きい街である。こちらも越境者が多いから東側の国境ゲートは、昼の混雑緩和のための施設なのだろう。
Los Algodonesは、メキシコが州国の最北端の街だ。ヤクルトスワローズのキャンプで有名なアリゾナ州ユマに接する。開設時間6時から22時までの小さな国境で、比較的すいている。

BAJA1000出場や、ツーリングの場合、San Ysidloの国境からの入国が多いだろう。
実際のボーダークロッシングでは、ハイウェイを南下してきたら、アメリカ側の国境手前の出口で一度降り、メキシコの自動車保険に加入する。アメリカで登録された車両での乗り入れは可能だが、自動車保険はアメリカ国内でのみ有効となるため、メキシコの自動車保険が必要なのだ。メキシコ保険を取り扱っているレンタカー会社は、手続きと同時に加入できる。
また、入国して72時間以上滞在する場合は、ツーリストカードの発給を受けなければならない。
メキシコ保険に加入し、再度ハイウェイに乗りなおすと、国境ゲートだ。料金所のようなゲートをくぐるとすぐに、イミグレーションオフィスがあるので、必要書類に記入し、$20を支払うとその場で受け取れる。

レンタカーの場合、メキシコの入国を許可していないところも多いので、気をつけたい。
ただし、同じ会社でも、サンディエゴの支店では、メキシコ入りが可能な場合もある。1度乗り捨て料金が掛かってしまい、割高にはなるが、サンディエゴの支店で借りなおす手続きをすれば、LAから同じ車両で、バハに入ることができる、という裏技もある。
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