BAJAカリフォルニアの人々は、キリスト教徒である。16世紀からのスペイン人の侵略、そして伝道師達による布教活動により不毛の大地にも次々とキリスト教寺院が建てられていった。
メキシコ本土とコルテス海を挟んだ対岸の街、ロレトに最初の伝導院が建てられ、2年後にはロレトから30kmほど内陸の山間の村、サンハビエルに2番目の伝導教会が建てられた。
今日でさえも四輪駆動車あるいはオフロードバイクでなければたどり着くことが出来ない土地ではあるが、先住民が生活の場にしていた土地は、砂とサボテンの大地のオアシスなのだ。厳しい生活環境の中で人が住み、生きて行ける場所は限られている。道師達はそれらの集落を一つ一つ訪れ布教活動をしたのであろう。

BAJAのお正月は欧米の多くと同様に、クリスマスと新年は続けてお祝いするようだ。
FELIZ NAVIDAD Y ANO NUEVO (メリークリスマス&ハッピーニューイヤー)と書かれた看板や電飾が広場や建物に飾られている。街の家々も年越しまで、クリスマスの飾りつけを競うかのように派手に煌めかせている。
大晦日は、夕方から村の広場でフィエスタ(パーティー)が行われる。村から人が一人もいなくなったかと思われるくらい村人総出である。タコスとビールとテキーラそしてラテンのリズムでダンスである。
ただし年越しのカウントダウンは、日本でのコタツでみかんと同様、家で家族と迎える様で、わりと大きな街でもバカ騒ぎしている光景はあまり見かけない。小さな打ち上げ花火が申し訳程度に夜空を染めている。

新しい年のはじまりは、いずこに於いても初詣であるが、BAJAではもちろん教会で新年のお祈りだ。オルガンとギターのささやかな楽団が「清しこの夜」を厳かに奏で、村人達がひざまずいている。 着飾る人もいるが、そこはBAJAスタイル、我々の初詣と同様Tシャツにジーパン姿の普段着での礼拝である。
そんな新年のお祝いの食べ物といえば「タマーレス」だ。やはり、クリスマスシーズンから用意するようで、気の合うご近所さんと何十個というタマーレスを作るらしい。
タコスの皮=トルティーヤはとうもろこしの粉(本来は茹でたとうもろこしをすりつぶす)から出来ているが、その生地を丸く平らに延ばす前のお団子状のものを「マサ」と呼ぶ。そのマサとラードをよく混ぜ合わせたお団子の中にメキシコ風味に味付けしたポークやチキンをつめ、とうもろこしの葉っぱで包み蒸した料理だ。外観は、ちまきのように葉っぱで包まれているので、なんとなく我々日本人にも親しみやすい。

生地は、パサついてそれだけではあまりおいしいとはいえないが、チリペッパーでアクセントの効いた煮汁が染込んだ部分は、豚まんやチャーシューまんのようで美味だ。おにぎり1個分くらいの大きさなので2つも食べればお腹いっぱいになる。
こうしてバハカリフォルニアでの新年は、ラテンの陽気さの中で厳粛にそして質素に迎えるのであった。
|