バハ・カリフォルニアは、本州ほどの細長い半島のほぼ真中で、北側のバハ・カリフォルニア州と、南側の南バハ・カリフォルニア州に別れる。
ティファナ(Tijuana)は、バハ・カリフォルニア州の最北部、アメリカと国境を接する都市である。
北、南バハ・カリフォルニア州のそれぞれの州都は、Mexicali(メヒカリ)とLa Paz(ラ・パス)であるが、ティファナは、いずれの街よりも規模の大きい、南北バハ・カリフォルニア州で一番大きい都市である。メキシコ全土でも6番目に大きい都市だ。

サンディエゴから車で約15分、ロサンゼルスから約4時間程の距離という地理的な好条件と北米自由貿易協定の締結以来、日本を含む先進諸国の工場も多く建設されてきた。また、メキシコ、あるいはバハ・カリフォルニアの玄関口として、観光の街ともなっている。
街の中心部の観光スポットでは、「しゃちょう〜」「やすいよ〜」などと、日本語で声をかけられるほどだ。観光客向けの土産物店や、医療制度の違いによりアメリカよりも安い薬品を扱う、アメリカ人向けの薬局が建ち並ぶ。
ただし、残念なことに、大きな都市、そしてアメリカとの国境の街ということもあり、麻薬関係の犯罪が少なからず起こっている様である。また、国境周辺に位置する外国企業工場のトップをねらった誘拐事件も、ニュースで頻繁に見かけるといったことも事実だ。

ティファナの観光スポットで有名なのは、「ハイ・アライ」と「ブル・リング」だ。
「ハイ・アライ」(JAI ALAI)は、古代アステカより続くスカッシュのようなルールのボールゲームだ。
バスケット状に編んだラケットでゴルフボール大の玉を100mほど先にある壁にあて、跳ね返った玉を、相手選手がラケットで受け止め、再び壁に投げ当てる競技だ。
コートは、劇場のようで、観客席があり、舞台の上がコートになっている。そして、勝ち負けを賭けるギャンブルとしても人気がある。純粋に、競技としても、そのスケールの大きさとスピード感に熱くなる。
1995年に開催されたBAJA1000では、28年ぶりに、ティファナからのスタートとなり、「ハイ・アライ」の競技場前が、受け付け、車検場となった。

「ブル・リング」(BULL RING)は、闘牛場だ。街の中心部から、西へと向かう有料道路を走り、太平洋に面するティファナビーチにでると、幾つかのビーチリゾートホテルと並んで、円形の野球場の様な建物が見える。
立派な門構えの入り口から巨大な駐車場に入ると、闘牛士の銅像が、巨大なスタンド席が野球場ではなく、闘牛場であることを教えてくれる。
過酷なデザートレース・BAJA1000は、1967年11月、この闘牛場のまさにこの駐車スペースから、第1回メキシカン1000ラリーとしてスタートしたのである。
バハのスタート地は、近年そのほとんどが、ティファナから150kmほど南下した港町エンセナダとなるが、67年当時もすでにその間の道は舗装されていたので、ティファナのブル・リングを出発した翌日に、再スタートとしてエンセナダを出発し、本格的な競技のスタートしたのだった。
そして、40周年を迎えた昨年2007年のBAJA1000では、第1回の時と同じように、当時の車両を持ち込んだ往年のドライバーたちが、ブル・リングをスタートし、エンセナダまでパレードランを行った。

お金持ちの国と接する、国境の街と云うこともあり、白黒の縞に塗られたロバの記念撮影や、銀細工を売る土産物店、さらに、アメリカでよく見かけるファストフード店やファミリーレストランも目立つが、アメリカから入国して感じられるティファナの第一印象は、ホコリまじりの排気ガスのにおいと云う人も多いかもしれない。
また、ティファナでは、悪名高きメキシコの交通警察の餌食になる観光客の車も多い。別の意味で安全運転?が必要だ。
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