バハ・カリフォルニア半島は、アメリカ西海岸、サンディエゴの南に盲腸のように延びる、南北およそ1700kmの半島である。
その北半分がバハ・カリフォルニア州、そして南半分が南バハ・カリフォルニア州という、メキシコ合衆国の州2つからなる半島だ。

国旗に対する思いは、国によって違いがあるかもしれないが、メキシコでは、それを大切にすることはもちろん、様々な機会で国旗そのもの、国旗の色を使ったデザイン、イメージの商品や、造作物など、親しみがあり日常的に触れることが多い。
愛国心の現れでもあるが、先日、スペインのある新聞社のニュースサイトで、「世界一美しい国旗」コンクールにてメキシコ国旗が1位となったことからもわかるように、さまざまな物にモチーフとして用いられる星条旗と同様に、デザインしやすく、見栄えのするものだからなのだろう。

メキシコ国旗は、緑、白、赤の縦三色の中央に国章を配した旗である。配色は、イタリアの国旗と同じだ。それぞれの色の意味にはいくつかの解釈があるようだが、緑は独立・希望、白はカトリック・宗教的な純粋さ、赤は民族の統一を表しているという。
ちなみに、イタリアの場合は、緑は美しい国土、白は雪と正義と平和、赤は愛国者の熱血を表しているのだとか。
そして、中央に描かれた、国章は、神官の予言で「アステカ人が新しい都を築くべき地は、蛇をくわえた鷲がサボテンにとまっている地である」というアステカの神話が元になったものだ。

バハ・カリフォルニアでももちろん、メキシコ国旗や緑、白、赤の三色をデザインしたさまざまなものに出会うことが多い。
まず、アメリカから陸路で入国する場合、国境ゲートに掲げられた「MEXICO」の文字が2文字づつ、それぞれの色に塗られているのを目にして、メキシコの国旗あるいは、メキシコをイメージする色を認識させられる。そして、高速道路の料金所のようなゲートを抜け、車を進めると、国境の街、ティファナの中心部で大きくそしてゆっくりと風になびいている巨大な国旗が出迎えてくれるのだ。
バハ・カリフォルニア半島を貫く唯一の国道1号線で縦断すると、幾つかの大きな街があるが、やはり何箇所かで、巨大な国旗を見ることができる。
先ず、オフロードレースBAJA1000のスタート地としても有名な港町エンセナダでは、海沿いの広場に幅50mの巨大な国旗が、旗竿と呼ぶにはあまりに太すぎる高さ100mのそびえ立つ柱にたなびいている。
また、バハ・カリフォルニア州と、南バハ・カリフォルニア州の州境には、巨大なモニュメントと国旗が、砂とサボテンの荒野の数キロ先から確認できる。
車で移動すれば当然ガソリンが必要だが、給油の度に目にするメキシコもある。それは、メキシコ国営のガソリンスタンドPEMEXだ。やはり、緑、白、赤のトリコロールが目印だ。
そして、なんと言っても、メキシコで毎日3回は目にするであろう緑、白、赤の「3色」は、朝、昼、晩の「3食」に必ず出てくる、サルサ・メヒカーナだ。
青トウガラシと、玉ねぎ、トマトが基本のもっともポピュラーなメキシコのサルサ(ソース)だ。
肉料理にも魚料理にも、そしてタコスには欠かせない、まさにメキシコの象徴なのかもしれない。
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