バハ・カリフォルニア半島は、北米大陸の南部、太平洋側に突き出た半島だ。付け根から突端までおよそ1300kmほどもある、世界で最も長い半島のひとつだ。
正確には、カムチャツカ半島、マレー半島、南極半島についで4番目だそうだ。
バハ・カリフォルニア半島は、現在のメキシコ本土と同じ北アメリカプレートの上にあったが、サンフランシスコ大地震の原因にもなった、アメリカ・カリフォルニア州太平洋岸に続く巨大な断層、サンアンドレアス断層の活動によって500万年ほど前に北太平洋プレートに乗って大陸から切り離し始め、半島となって、本土との間にはカリフォルニア湾が形成された。カリフォルニア湾は、この地を探検し、発見したエルナン・コルテスの名を取ってコルテス海とも呼ばれる。
現在でも年間2cmほどで移動していて、メキシコ本土とは、おおよそ250km離れている。

大陸の一部が断層によって切り離される際、西側が太平洋に落ち込む容で移動していった。
ちょうどかまぼこの板を水に浮かべ、片方の長辺を指で水に沈めたときのように、傾いた状態だ。実際に、お風呂やシンクの水の中にかまぼこ板を浮かべて片側を沈めてみると、反対側の端が、その断面を上にして水面に浮いてくる。バハ・カリフォルニア半島の山脈は、切り離された大陸プレートのまさに端っこの断面なのだ。
地図を開いてみると、小中学校で使った世界地図でも、半島の東側に山脈が連なっているのがはっきりとわかる。等高線で色分けされた茶色の部分、つまり標高の高い部分が細長い半島の右半分に上から下まで続いている。
さらにこの南北に伸びる山脈がアメリカ・カリフォルニア州南部までつながっている。
また、コルテス海の最奥部の先、カリフォルニア州南部まで延びたその山脈の東側に湖を見つけることができるはずだ。何百万年後には、この湖は、コルテス海につながるのことになる。

もう少し大きい縮尺の地図でバハ・カリフォルニア半島の山々を見ると、たしかに西側はなだらかなスロープだが、東側の等高線は密集して、決まって断崖絶壁になっている。
基本的にコルテス海側に平地は少なく、浜のすぐ後が山となる地形が多い。そのため、開発の手が入っていないので、コルテス海側には、自然の残るリゾートがいくつか点在している。
サンディエゴから30分ほどで国境を越え、半日のドライブでたどり着く事ができる近さでありながら、ほとんど開発されていな太古のままの自然が残る世界的にも貴重な半島だ。コルテス海とそこに浮かぶ島々は、世界自然遺産に指定されている。
BAJA1000と聞いて、サボテンの生える砂漠のレース=砂の平原を思い浮かべるが、バハの場合、半島西側の比較的平らな砂漠から、東側の山岳コースまで様々地形の中を走るルートで競われるレースなのだ。毎年少しずつコースは変わるが、特に半島北側は、山岳ルートが多くハードな場合が多い。 1995年、2008年で通った半島最北部のLa Rumorosaでは、標高差約1000mを一気に下る難所だ。今年のBAJA1000も山岳ルートの走りが勝敗のポイントとなるのだろう。
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